中尾彬主演の金田一耕助。

言わずと知れた金田一耕助シリーズの初作。原作小説版は二百頁程度なので、本作は余すところなく映像化できていました。原作小説版の時代設定は昭和十二年なのですが、本映画版は昭和後期にアレンジされているようです。それでも、本事件の核心である〝本陣〟の趣旨はそのまま。舞台である岡山県倉敷市の封建的な村社会を映した事件です。

本陣とは

江戸時代の参勤交代などで大名や重役が宿泊する宿場。すなわち、江戸幕府公認の宿場を本陣という。当然、一般客は泊まれない。この宿場を営んでいた一族の末裔が本作渦中の一柳家。この事が動機に大きく関係します。

麻薬中毒者、金田一耕助

ここで金田一の来歴を少々。金田一は蝦夷・東北地方に生まれ、大学進学を機に上京、すぐに大学を中退、渡米した。そこで麻薬の味を覚えるが、日系人の事件を解決したことで脚光を浴びる。心機一転、アメリカの大学を卒業し、帰国後に探偵業を始めた。そして、本事件である。この昭和初期にはなかなかいないアメリカンなタイプの若者ですね。マリファナパーティする学生のような。

中尾彬

やはり、本映画版の特徴は中尾さん。本事件の時の金田一は二十五、六歳ですが、小説版は薬物が抜けきれてない言動が不審。それに比べ、中尾さんの金田一はハードボイルド一直線(グラサンにブーツカットジーンズに)。歴代で最も尖っているんじゃなかろうか。これはこれでアメリカ帰りなのかも。やはり、原作小説版のままの金田一はこの時代ではまだ受け入れがたいのか。

鈴子役の高沢順子さんは麗しゅう不思議ちゃん。

◼️原作小説
題名:本陣殺人事件
作者:横溝正史
出版:青珠社(1947)

◼️評価
物語:0.3/映像:0.4/美術:0.4/主演:0.2/リピ:0.3
結末:0.4/演出:0.3/音楽:0.3/助演:0.5/満足:0.4