Kindleセールで安かったのでマンガを読んでみました。

と言っても、テレビ版(2007)を見ていたので物語は既知です。マンガは約半世紀前の作品。SF設定はマンガ『火の鳥』の未来編を思わせるディストピア。竹宮惠子さんの画風も手塚風ですね。最高。

あらすじはこう。

人類は環境汚染で住めなくなった地球を去り、過ちを繰り返さないために移民星でAI管理された人生を送っていた。だが、ある時に超能力を持つ新人類(ミュウ)が生まれるようになる。AIはミュウを容認せず、能力発現者を密かに駆逐してきたのだが、それから逃れられたミュウたちが人類へ抵抗を続けていた。物語は少年ジョミー・マーキス・シンのミュウへの覚醒から始まる。彼は故郷のないミュウたちを導くことになる。そう、地球へ⋯。だが、AI社会で英才教育を受けた青年キース・アニアンが立ちはだかる。これは二人の三十年に及ぶ物語。

一般にディストピア作品はどれも「不自由な社会への抵抗」がテーマ。だが、自由不自由は主人公の主観であって客観ではない。社会システムを容認している者にとってはディストピアもユートピアたりえる。ディストピアは一方的な悪ではないのだ。本作ではジョミーとキースの敵対関係がそれを表しています。

「人類にとってのユートピア、そこに現れた新人類ミュウ、敵を倒すのが正義」とバトルアニメならこう。しかし、本作の主人公はミュウなのですべてが逆転する。「人間社会こそがディストピアである」と。ここで地球が共通のシンボルになるのですが、これが「敵とは?」という問いを投げかけてくる。他人種だから敵か、他国人だから敵か、他星人だから敵か、他銀河人だから敵か。あるいは生命ならばすべて味方か。ロボットアニメ全盛期に書かれ、現在のアニメに多大な異教を与えた作品だと思います。

映画版はムズカシイ。

構成はテレビ版全24話の方が理想的。ですが、SFは成長物語を排せば冒頭の導入と結論の結末だけで成り立つ。本映画版でも当てはまりますが、30年の物語を2時間で済ますのも寂しい。テレビ版は話数がありますが、オススメ。

吹替キャストは俳優が多いのでそれ相応。

◼️原作
漫画:地球へ⋯(全3巻)
作者:竹宮恵子
連載:月刊マンガ少年(1977年1月号 - 1980年5月号)
出版:朝日ソラノマ、角川文庫、中央公論社、等々。