西暦370年~415年。🇪🇬

アレクサンドリアで起きた学者とキリスト教徒の抗争。

本作は女性天文学者ピュパティア(370?年頃~415年)の半生を描いた作品。この時代はキリスト教の隆盛期です。すなわち、それは科学の衰退を意味している。ピュパティアは科学と宗教の対立の犠牲者でした。本作は両学問が相容れないことをよく描いています。ちなみに、布教(紀元前30年頃)当時のキリスト教徒数は100人ほど。それが、西暦500年頃には1000万人ほどに(推定世界人口2〜3億人)。

370年:ピュパティア誕生
392年:ローマ帝国がキリスト教を国教とする
395年:ローマ帝国が東西に分裂
415年:ピュパティア死去

宗教は人類を衰退させたのか?

よく、科学と魔法が対比されがちですが、思考的には〝科学と宗教〟だと思います。科学は万物の謎を解き明かそうとしますが、宗教は万物の謎を謎のまま受け入れてしまう。何事も〝奇跡〟で片付けてしまう。宗教が広まることで確かに人々の心は救われますが、同時に人々は考えることを神や聖書に委ねてしまった。この宗教的思考停止が人類の進歩を妨げたように思います。例えば、性差別。「イエス様の弟子全員が男性だったから」という理由もあり、カトリックに女性の聖職者がいない。プロテスタントでも16世紀までおらず。イスラムも女性指導者はいない。極東は少しが違いますが。宗教では強い信仰心を持とうとも女性に神の言葉を語る権利がない。この理が一般に浸透したために性差別がなくならなかったのではないでしょうか。宗教は古来からある男性優位社会を盲目的に信じ込ませて普遍的にしてしまった。

同様に、宗教的思考停止で科学も衰退していく。

アレクサンドリアは世界最古の図書館があり、ヘレニズム(ギリシア文化とオリエント文化の融合)の中心として学問が推奨された地。紀元前331年の都市建設以来、浮力の原理、テコの原理、円周率、地球の円周などの数学の基礎が発明されました。しかし、キリスト教の拡大でそれらが神学や秘術などの神秘主義へ置き代わった。これらは現代人のサブカルにありがたいのですが実用性はまだない。女性が論理を説けば〝魔女〟と呼ばれる始末。事実、5世紀から15世紀の1000年間の欧州は目立った発明品がない(アジア圏の発明が多い)。800年頃に中国から火薬が伝わりますが火縄銃が発明できたのは1450年。中世期は聖地エルサレム奪還の宗教戦争や領土争いばかり。近代科学は神学や宗教学を捨てることから始めたというし、人々は神に身を委ねて良かったのだろうか。

本作は科学の実用性を知る我々だからこそ感じ入る作品でした。

◼️評価
物語:0.4/映像:0.5/美術:0.5/主演:0.4/リピ:0.3
結末:0.4/演出:0.3/音楽:0.3/助演:0.3/満足:0.4